注目される。
2018年にデビューを飾り、昨年は映画『メイヘムガールズ』で主演を務めた吉田美月喜さん(19)。今年はさっそく、常盤貴子さんとW主演を務めた映画『あつい胸さわぎ』が公開になりました。
千夏に出会えてよかった
――今回は、若年性乳がんを患った娘と、その母の物語です。どう受け止めましたか?吉田美月喜(以下、吉田):オーディションだったのですが、乳がんがテーマのひとつだと知っていたので、暗い作品なのかなと思っていました。でも台本を読んだら、温かさがあって、不思議だなと感じました。
映画の公開は『メイヘムガールズ』が先になりましたが、撮影はこちらのほうが先だったので、出演が決まったときは、初主演映画というのは人生でひとつだけで、それがこの作品で、千夏に出会えてよかったと思いました。
紙のスケジュール帳に日々のことを書く

――吉田さんが演じた千夏は、芸大に進学して小説を書いています。吉田さんのご家庭は、携帯やパソコン、テレビが禁止と厳しく、本を買ってもらっていたと以前のインタビューでお話されていましたが、吉田さんも千夏のように、文章を書いたりはしてきましたか?
吉田:小学校のときに作文の課題があったので、それを書くことは楽しんでいましたが、わざわざ自分で書くことはしていませんでした。ただ、小学1年生から6年生までずっと日記を書く学校だったので、日々の出来事をパパっと書くのはクセになったかもしれません。今も、スケジュール帳の後ろにメモ程度に日々のことを書いています。
――携帯のメモではなく紙のスケジュール帳に?
吉田:はい。紙が好きです。
母とはたまに取っ組み合いのケンカも(笑)
――千夏に共感した部分を教えてください。吉田:年齢が同じだったんです。私も、大人になったつもりでいても、結局はいろんな部分が子どもで、自分では何も決断できなかったりする。そうした気持ちの揺らぎといったものを、すごく共感できました。それから、この作品は親子の物語でもあるのですが、私自身も母ととても近しい関係です。なので、そこもイメージしやすかった部分です。
――お母さんとは、ケンカもしますか?
吉田:たまに取っ組み合いになるくらい(笑)。でも仕事のことに関しても、気持ちの上での問題も、友達よりもまず先に母に言います。この物語では、思春期の色々や胸のことが関わってきたりして、親子がぶつかったりしますが、それまでの関係は自分に似てる部分があるのかなと思いました。
先輩、常盤貴子との共演

――お母さんは常盤貴子さんが演じました。共演はいかがでしたか?
吉田:事務所の大先輩ですし、こんなキレイな方が私のお母さんでいいのかと思いました。母もすごく喜んでました。「どうするの、常盤さんの娘じゃん!」ってプレッシャーをたくさんかけられました(苦笑)。あと、衣裳合わせのときに、まつむらしんご監督が常盤さんにお会いするのにめちゃくちゃ緊張していて、それを感じて私も一緒に緊張しました(笑)。
――監督も常盤さんは憧れの方だったんですね(笑)。現場ではいかがでしたか?
吉田:作品に入るまでにしっかり役についてお話する時間はなかったのですが、初めのほうに冒頭のシーンを撮影したんです。千夏が朝食を食べようとして、お母さんが焼いた「トーストが焦げてる」みたいな。
そのときに、常盤さんの放つ関西のオカンという雰囲気がすごく大きくて、それまで緊張して、「親子に見えるかな」と思っていたのが、声を聞いて、姿を見た瞬間に「お母さんだ」と素直に思えて、すごく自然にいることができました。そうした演技力は観ている方にも伝わると思いますが、目の前でお芝居を受けている私にもすごくわかるものでした。
トルコとエジプトで受けた真逆の衝撃
――母・昭子の友人であり、千夏の姉のような存在でもある透子は、前田敦子さんが演じています。吉田:前田さんも、常盤さんと同じく憧れの方だったので、お会いするまでガッチガチに緊張していたのですが、すごくフランクに話しかけてくださって、ビックリしました。撮影中もずっと本当のお姉さんのように一緒にいてくださったので、千夏を演じるうえでもとても助かりました。
――本編では、町にサーカス団がやってきます。吉田さんがよく覚えている子供時代のイベントごとがあれば教えてください。
吉田:家族のイベントとしては、この仕事を始めてからはなかなか行けないんですけど、厳しい家だった割に、海外に連れて行ってもらえることは多くて、いろいろな国に行きました。今思うとこんな贅沢なことはなかったし、自分の糧になっているなと思います。
特に覚えているのはエジプトとトルコです。トルコは初めて気球に乗って、カッパドキアに行きました。「これが自然にできるものなの!?」と壮大さに本当に驚きました。エジプトに行ったのは小学生のときでしたが、自分と同じ年くらいの子どもたちが観光地で「写真撮ってあげる」などとお金を稼いでいる光景を見て、子どもながらに「生まれた国によってこんなに環境が違うんだ」と、何とも言えない気持ちになったのをすごく覚えています。
人から支えられるって、すごく大切

――改めて完成作を観て感じたことを教えてください。
吉田:病気のことだったり、恋のことだったり、自分の体のことだったり、千夏はいろんなことに葛藤するのですが、周りの人たちが、最後まで彼女を見捨てないんです。千夏がここにいられるのは、周りの人たちが全力で守ってくれているからなのだと思いました。人から支えられるって、すごく大切だし、ありがたいことです。
コンプレックスとか、なかなか人に言えないことを抱えている人って多いと思うんです。そんな人がいたら、時間をかけてゆっくりでいいから、ずっと見守ってあげるというか、見捨てないでいてあげることが、その人の支えになるんだと、身をもって感じました。
二十歳になる今年の目標は
――個人的に、ター坊(佐藤緋美)がすごく良かったです。吉田:いいですよね。この作品は演劇ユニット「iaku」さんの舞台が基なのですが、ター坊は映画オリジナルのキャラクターで、監督が「ター坊は僕自身だ」とおっしゃっていました。「千夏を応援したいという気持ちが、ター坊に現れているんだ」って。監督の人柄が表れていると思います。
――最後に、吉田さんは今年二十歳になります。目標を聞かせてください。
吉田:お仕事としては、この映画も公開されて、ひとつターニングポイントになると思います。このチャンスを無駄にしないように、そして今はいろんな役をひたすら経験していきたいです。プライベートでは、一番初めのお酒は母と飲みたいとずっと思っていたので、それを叶えたいと思います。最近その話を母に伝えたら「気持ち悪い」って言いながら照れくさそうにしていました(笑)。
<取材・文・撮影/望月ふみ ヘアメイク/横山藍 スタイリスト/岡本純子>
【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異 Twitter:@mochi_fumi
(出典 news.nicovideo.jp)
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