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東京百景 語る

KADOKAWAが、6月12日に “幻の名作”と称される、又吉直樹氏の自伝的エッセイ集『東京百景』の電子書籍を発売した。

19歳になる年に芸人になるという夢を抱えて上京したものの現実に打ちのめされ、何者かになれると信じてしまった 自分を呪い、傷つき、あきらめかけ、しがみつき、また傷つき……。そんな著者自身の不安と憂鬱に満ちた青春の日々を 描いた『東京百景』は、芥川賞を受賞以前の2013年に発表された100篇の物語から成るエッセイ集だ。

ナイーブで感傷的な視点から描かれる文章は多くの書店員から「傑作」と称され話題を呼び、10万部のヒットとなった。芥川賞受賞作『火花』や映画『劇場』の“原作”とも言うべき物語(『池尻大橋の小さな部屋』)が収録される、又吉文学の 『原点的作品』でもあります。 7年の時を経て4月に文庫化され、すでに重版も決定した傑作エッセイ集が、生活スタイルの激変した現在の状況を受け、電子書籍の発売を決定した。

「文庫は単行本の劣化版ではない」 又吉直樹はその信念に基づいて、いくつかの大きな変更を今回の文庫化にあたって行った。

1、単行本とはコンセプト180度変更し、カバーを人物に変更。女優ののんに依頼。
2、上記と連動し、のんと又吉による朗読動画を制作。もう一つの『東京百景』としてYouTubeで公開。
3、相方との日々そして現在に至る東京百景“以降”の思いを綴った書き下ろし最新作『代田富士見橋の夕焼け』を収録。

又吉直樹が『東京百景』を書き始めたのは、芸人として名を上げる以前のまだ20代だった2009年だった。自分を肯定できる現実を見つけられずにもがいていた、単行本当時の切ない記憶。そして、不安と憂鬱に苛まれる日々の中にささやかな楽しさや幸せを見つけ、なんとか生き延びてきたからこそ届けられる、現在の熱い思い。その両者を収録することで、単行本を超える傑作になったと確信している。現在進行形で、夢を追い苦しむ新東京人、そんな時代もあったと懐かしく思うかつての新東京人、どちらの心も癒し「大丈夫やで」と背中を押すような優しい作品となっている。

<のんのコメント
お話をいただいてとても嬉しかったですが、「又吉さんの本にのんの顔が載るの?」と不思議な気 持ちでした。でも又吉さんの青春が詰まっていて心にグッと来て、是非やってみたいと思いました。撮影には『東京百景』に漂う青春の痛み、油断している中に切なさが滲む雰囲気を表現しようと臨みました。動画で朗読もしている『池尻大橋の小さな部屋』の、「その人はそこで逃げるべきだったのかもしれない」という言葉が妙に残って切なかったです。悔しさが感じられる強い言葉でした。又吉さんと初めて朗読をしましたが、とても不思議な空気が流れていました。意外な組み合わせだなと思う方、どうなっているのかなと気になる方、是非その興味のままに見てほしいなと思います。

『東京百景』
著者:又吉直樹 定価(本体660円+税)



(出典 news.nicovideo.jp)